奇跡の立役者 五郎丸=五郎ちん。「クリスマスの奇跡」ならぬ「お正月の奇跡」

奇跡の立役者 五郎丸=五郎ちん。「クリスマスの奇跡」ならぬ「お正月の奇跡」

〇モリリンのコメント

暮れも押し迫った2015年12月30日、19時1分前(着信履歴が本当に18時59分だったのです!)。

自宅にて携帯電話を前に少し早い年越しカウントダウン(当院の診療時間は9~19時。31日から年末年始休診日に突入)。

「19時まで残すところ1分。今年もこれで仕事納めだ・・・」

「開業して3カ月。あっという間だったけど、その間に出会った飼い主様と動物達は、私にとっては感慨深かった。。。」

と、一人でノスタルジーに浸っていたところ、けたたましい電話の着信音が。

すでに秒読み態勢に入ったカウントダウン直前に、今年最後の往診依頼!!

「あのぉ~、保護した野良ネコちゃんがぐったりして死にそうなんです(-_-メ)」

こうして、2016年の奇跡が始まったのです。

12月始めごろに飼い主様宅に迷い込んだ仔猫。人間に懐かず攻撃的な猫だったため、飼い主様も捕獲することができず、とりあえず様子を見守っていたところ、30日の昼ごろから猫ちゃんがぐったりして動かなくなってしまい保護していただいたとのこと。

診察させていただくと、年齢は二カ月齢になるかならないかの幼猫で、重度の下痢と下腹部に3か所の鋭利な外傷。

下痢はコクシジウムという寄生虫が原因で、脱水と栄養失調で低血糖に陥り意識混濁。

外傷に関しては、いくつかの目撃証言から、イタチに襲われた可能性大。

こんな岐阜の街中にイタチ????!!!

と思うのですが、昨今ではイタチやアライグマが街中にも出没している様子。

イタチの爪による傷なのか、外傷はかなり深く腹膜炎を起こしている可能性もあり、さらに厄介なことにコクシジウム症で命を落とす幼猫は数知れず。わずか850gしかない小さな猫ちゃんが、この大ピンチを乗り切れるのか、、、。(明日の朝まで持ちこたえられる確率は数%しかないと思っていました)

こうして飼い主様の2015年の暮れからお正月にかけての寝ずの看病が始まったのでした(-_-メ)

30日から連日往診に伺わせていただくも(時には1日2回の往診)、病態は一進一退。

少し元気になったと喜んだのもつかの間、翌朝には低血糖で生き倒れ。毎日どころか数時間で一喜一憂。ジェットコースターなみのスピーディーな展開(>_<)

お正月ともなれば来客も多く、飼い主様は来客への対応の傍ら看病を。ではなく、看病の傍ら接客を。

これほどまでに飼い主様が愛情と労力を注いでくださる姿を拝見すると、何としても生き延びてほしいという私の気持ちも強くなり、みんなの期待と願いが日に日に強まるばかり。

この猫ちゃんに付けられた名前は、我らが日本のヒーロー「五郎丸」。イケメンにマッチョ。たくましくて生命力も強そう。でもこの猫ちゃん、体重850gのメスです(;一_一)

30日から今日まで7日連日の皮下注射と点滴、外傷の手当てが功を奏してくれたのか、本日1月5日には傷口も綺麗な肉が盛り上がり順調に修復され、写真の通り、眼光鋭く私たちににらみを利かせるまで状態が持ち上がりました。

かなり深部までえぐられたような外傷。治療7日目でピンク色の綺麗な肉が出てきました

かなり深部までえぐられたような外傷。治療7日目でピンク色の綺麗な肉が出てきました

「海老蔵のにらみ」にも負けてません。

「海老蔵のにらみ」にも負けてません。

食欲も廃絶していた仔猫が、今朝はキャットフードを一心不乱に食べています。

ですが、何分体力も免疫力もない仔猫なので、まだまだ油断はできません。

でも、こうして2016年の初奇跡に立ち会えたことはまさしく、

「こいつは春から縁起がいいわえ!」と嬉しい限りです。

飼い主様にとっても私にとっても忘れられないお正月となりました(^。^)

ちなみに、「五郎丸」という時代を象徴するかのようなイケテル名前だったのですが、本日改名となり、五郎丸改め「〇ちゃん」と命名。

幾度となく諦めかけた命も奇跡の復活を遂げ本日に至り、「人生すべて丸く治まる」「人生=〇」という飼い主様の思いが込められた名前となりました☆